日本の夏は猛暑日が増加するなど年々厳しくなっており、2025年も厳しい暑さが予想されています。日本気象協会によると、今年は6月から全国的に平年より高い気温が続いており、南から暖かく湿った空気が流れ込みやすいため、7月以降も例年以上に蒸し暑くなるといわれています。
今年から企業にも熱中症対策≠ェ義務化されています
2024年の職場での熱中症による死傷者数は、1,257人(うち死亡者数は31人)*1でした。こうした状況を踏まえ、政府では、職場での熱中症による死傷災害を防止するために、2025年4月に「労働安全衛生規則」の一部を改正し、2025年6月から施行しています。今回の改正では以下の内容が事業者に罰則付きで義務化されます*2。
*1 厚生労働省 令和6年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」
*2 義務化の対象は、暑さ指数(WBGT)28または気温31度以上の環境下で連続1時間以上または1日4時間を超える作業をする場合
①報告体制の整備と周知
熱中症の症状や疑いがある場合、連絡先や担当者を決めるなど体制を整備する
②必要な措置および実施手順の策定と周知
熱中症による健康被害が生じる恐れがあるときは、作業を中止し身体の冷却、医療機関への搬送等重症化を防ぐための実施手順を定め、関係者に周知する
改正施行前も職場では、「水分補給を呼び掛ける」「休憩場所を用意する」「体調が悪い人がいたらすぐに対応する」など、対策が行われてきましたが、これらは努力義務にとどまっていました。しかし、依然として多くの被害が発生していることから、今回の改正により義務化されました。
私たちにできる熱中症対策
職場での義務化された対策とあわせて、私たち一人ひとりができることも大切です。自分自身でできる対策と、周りにできる働き掛けの両方が重要になってきます。
●自分でできる熱中症対策
・小まめな水分補給
喉が渇く前に定期的に水分を補給し、汗をたくさんかいたときは塩分補給もする。 ・涼しい服装を心掛ける
通気性の良い服や吸汗速乾素材のインナーを選び、帽子や日傘も活用する。 ・無理せず休憩をとる
「ちょっと疲れたな」と感じたら、無理な作業や運動は控えて休憩をとる。 ・体調管理をする
体調が万全でないと熱中症にかかりやすくなるので、体調管理を心掛ける。 ・快適な温度を保つ
屋内でも油断せず、エアコンや扇風機を上手に使って、快適な温度を保つ。
●周りにできる働き掛け
・声を掛ける
職場の仲間や家族、友人の様子がいつもと違うと感じたら、「大丈夫?」などと声を掛けて様子を見る。
・休憩や水分補給を促す
忙しいとつい忘れがちになってしまうので、水分補給や休憩を促すようにする。
・体調の変化に気付くようにする
周りの体調の変化に気を配り、顔色が悪かったり、汗をかき過ぎていたり、ぼんやりしているなどの異変を感じたら早めに対応する。
・情報を共有する
予防法や対応策を共有しておくことで、いざというとき慌てないようにする。
健康な夏を過ごすために
例年以上に高温・多湿が予想される今年。熱中症対策の徹底が職場に求められ、具体的な対策が義務付けられるようになりましたが、熱中症は職場だけの問題ではありません。夜間でも油断は禁物。寝ている間に熱中症になることもありますので、普段から小まめな水分補給や体調管理、適切な室温管理を心掛け、暑い夏を元気に乗り切りましょう。